老化による外観の変化で一番特徴的なのはシワです。シワは、様々な形状があり小ジワ、中ジワ、大ジワと分類したり、線状シワ、図形シワ、縮緬シワと分類したりします。自然老化で、皮膚は機能低下して委縮し、細胞数が減少するため皮膚が薄くなります。皮膚の深部では弾性繊維が身体部位により決まった方向に走っているのですが、この走行を図示した線をランガー割線と言います。皮膚はこのランガー割線に沿って切ると傷あとが目立ちません。皮膚は角質層の乾燥により皮膚の水分含有量が低下し、角層の物性が変化し、その結果ランガー割線に沿って一過性の小ジワが出来るといわれています。しかし、眉間、目尻、額のシワが季節によってどう変化するかを調べてみると、固定されたシワは、冬の角質層細胞の水分量が低下するにも関わらず、小ジワとは違って変化はありません。
深いシワは何故出来るのか?
深いシワは光老化によるものです。光老化により皮膚は、厚くなり弾性繊維の塊が蓄積します。また紫外線によって、コラーゲンを分解するマトリクスメタロプロテアーゼという物質が増えることが知られていますが、このコラーゲンが分解されるとシワが増えるのです。基底膜ヘパラン硫酸プロテオグリカンのヘパラン硫酸鎖を分解するヘパラナーゼも紫外線で増え、基底膜に大きな影響を与えると言われています。さらに、紫外線だけでなく、赤外線や可視光線も皮膚のコラーゲンの合成力を低下させ、マトリクスメタロプロテアーゼを増加させるのではないかと言われています。
固定ジワとは?
目尻や口元のに出来るシワは、顔の表情筋の動きによってその部分の真皮の構造が変化してできるものです。目を開けると額とした下瞼に、目を閉じると眉間や鼻根、目尻にシワができやすくなります。上をみると額にシワができ、毎日その動作を繰り返すことによってそのシワは固定ジワになっていくのです。
またシワは、年齢によって小ジワ、中ジワ、大ジワと変化していきます。小ジワは主に角質層や表皮の、中ジワや大ジワは真皮の変化の影響を受けると考えられいます。深いシワは毎日繰り返されることによるものと、光老化の両方の影響によってできるものだと言えるでしょう。
タルミが出来る原因
タルミは表皮、真皮、皮下組織の成長が停止するために、脂肪細胞や筋肉の体積が減って起こると言われています。法令線は皮膚のタルミが真皮に刻み込まれてシワになると考えられていましたが、起きている時に見られる法令線も横になると目立たなくなることから、それはシワではなく、口や鼻と頬のタルミとの境界線であると言われるようになりました。
さらに色々な研究の結果、皮下脂肪の増加は周囲の組織に悪影響を与え、タルミを増強させるのではないかといわれています。良好な脂肪細胞は、アディポネクチンという物質を作り出し、線維芽細胞を育てますが、多量の油分を持つ脂肪細胞は、アディポネクチンをあまり作らず、繊維芽細胞を抑制してコラーゲン分解酵素を増やし、その結果コラーゲンを減らしてしまうのだそうです。