エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)
エストロゲンは女性らしさを作るホルモンで、生理の周期に合わせて妊娠に備える働きをしています。それ以外にも、自律神経や感情、皮膚や脳にも影響を与えているため、エストロゲンの作用によって、気持ちが明るくなって精神的な安定が得られたり、肌や髪が美しくなったりします。
プロゲストロンは子宮内膜の状態を整え、妊娠を助ける働きをしますが、それと同時に、プロゲストロンは感情を不安定にしたり体内に水分や栄養分を蓄えようとする働きもするのです。そのため、プロゲストロン優位の時期の女性は、精神的に不安定で、肉体的にも体調不良に陥ったりするのです。生理のリズムは、このエストロゲンとプロゲストロンの二つの女性ホルモンの分泌量が作り出しています。
生理が終わるころから少しずつ分泌量が増えて排卵前にピークを迎えるのが、美のホルモンと言われているエストロゲンです。エストロゲンが多く分泌されている時期の女性は、このホルモンの作用で肌はみずみずしく艶やかになり、気分も明るく行動的になっています。排卵後に急に分泌量が増すのが妊娠ホルモンのプロゲストロンです。
このホルモンが優位になる、排卵後から生理前の女性は、新陳代謝が悪いため、むくみやすく、また、気分も沈みがちになります。そして、生理前になると、大量に分泌されていたプロゲストロンとエストロゲンが同時に減少してくるため、ホルモンのバランスが急変します。そのためこの時期にも、心身は不安定になり、イライラや体調不良を起こしてしまいます。 このように二つのホルモンは、生理の周期とともにその分泌量が大きく変動し、それによって、女性を元気にしたり不調にしたりしています。
しかし、女性を元気にするエトロゲンの分泌ばかりが多い方が良いかというと、決してそうではありません。エストロゲン過多の状態が必要以上に長く続くと、エストロゲンが子宮内膜や、乳腺に過剰に働きかけすぎて、子宮筋腫や、子宮体癌、乳がんにかかるリスクを高めるおそれがでてくるからです。
エストロゲンは排卵前に非常に多く分泌され、その後も量は減りますが、分泌され続けます。一方、プロゲストロンが分泌されるのは排卵後の約二週間のみです。その後もし、妊娠したら、多量のプロゲストロンが分泌されますが、妊娠しなかった場合には、プロゲストロンが作用する時期は短くなり、エストロゲン優位の状態だけが長くなるのです。
つまり、妊娠を経験しない女性はエストロゲン優位の時期が長いということになります。妊娠を経験する女性は、その間生理が止まるので、エストロゲンばかりが大量に分泌されることはありません。少子化が進む現代社会においては、女性が一生の間に迎える生理は500回前後と非常に多く、その回数は、沢山子供を産んでいた昔の女性の、10倍以上にもなると言われています。現代の女性はエストロゲン過多になりやすく、昔の女性より乳がんや子宮ガンに注意が必要です。
このように、美のホルモンといわれているエストロゲンだけではなく、プロゲストロンの分泌も重要です。二つの女性ホルモンは、適度にバランスよく分泌されることこそが理想であり、大切なことなのです。