肌の色は生活する地域によって違うものです。顔は常に露出していて日光を浴びるため、メラニンができて、腹部などより黒いのが普通です。唇などが紅く見えるのは、血管の中の血液が透けて見えるからです。肌の色を決めているのは、この血液やメラニンの色だと言っても良いでしょう。
メラニンは黄褐色の顆粒で、それが多く存在すると肌は黒く見えますが、その量は紫外線防御とビタミンDの合成のバランスによって決まると言われています。一般的に熱帯地方に住む人の肌は黒く、寒冷地に住む人の肌は白い傾向があります。
また、このメラニンの色は場所によって違って見えるものです。肌の表面に近い場合は褐色で、それが沢山集まると黒く見えます。肌の奥深くにあるものは青く見え、黄色人種の乳児に見られる蒙古斑などがそれにあたるものです。青い蒙古斑は、真皮の中のメラニンが増えたものなのです。肌のメラニンは、メラノサイトで作られますが、メラノサイトは神経節に由来する細胞なので、メラニン形成は精神的な影響を受けやすいと言われています。
紫外線と肌の色
肌が紫外線に当たるとメラノサイトの働きが活性化し、メラニンが沢山出来ると肌の色は黒くなります。メラニンの形成との関係が深いのは「チロシナーゼ」という酵素です。この酵素の影響を受けながら、チロシンというアミノ酸からドーパ→ドーパキノン→システニルドを経て黄色のフェオメラニンが形成されます。またドーパキノンから、ドーパクロム→DHI(5・6ジヒドロキシインドール)→DHICA(5・6ジヒドロキシインドール2カルボン酸)を経て黒色のユーメラニンが作り出されます。そしてメラニンはメラノサイトの樹状突起の先に移動し、ケラチノサイトの細胞質に取り込まれたとき、肌が黒く見えるようになります。紫外線を浴びてからこうなるまでに3~4日を要します。
日焼けとメラニン
こうしてできたメラニンは徐々に肌の表面に向かって押し上げられ、角層細胞と共に肌の表面から剥がれ落ちます。その間にメラニンは還元されてフェオメラニンになるのですが、この状態でまた強い日光を浴びるとこれが酸化され黒いユーメラニンに戻ってしまいます。これが日焼けの一次黒化です。
シミ(肝斑)は何故出来るの?
肝斑と呼ばれているシミは、顔にできる淡褐色や暗褐色の色素斑のことです。頬や額、眼や口の周りに出来ることが多く、左右一様にできるのが特徴です。その原因は日焼け、卵巣機能低下、ストレス、副腎皮質機能低下などが考えられます。また、妊娠初期にも起こりやすいと言われています。
ソバカスは雀卵斑とよばれる小さな褐色の色素斑で、眼のまわりや頬にでき白人に多くみられます。アザや黒子は誰にでもあり、生まれつきのものや、思春期から出てくるものがあります。青あざと言われている丹田母斑、赤あざと呼ばれる血管腫、女子顔面黒皮症、炎症後色素沈着症などがあります。
肌のシミは色素沈着によって起こるものですが、逆にメラニンが減少すると、白斑ができます。肌にやけどや病気があるためメラノサイトが壊されて白くなることがあります。
本来免疫というものは、外部から侵入してくる非自己と自己を区別し、非自己を排除するものです。しかし自己であるメラニン細胞を攻撃し破壊してしまい、メラニンが作れなくなる自己免疫疾患に尋常性白斑という病気があります。この病気にかかるとメラニンが作れないため皮膚の色素の1部分が抜けて白くなり、それが徐々に広がっていきます。これは全身に広がっていくこともあり、マイケルジャクソンは、この病気のために完全に肌が白くなったと言われています。
メラニンを作れなくなった細胞は紫外線に対して無防備になるため、皮膚ガンなどを防ぐため紫外線対策をしっかりと行う必要があります。また、生まれつき全身のメラノサイトにメラニンを作る働きがないアルビノ(白子)は肌が透き通るように白く、髪は金髪、眼は青色なのです。