紫外線が肌に与える影響とは?

手で日光を遮る白い帽子をかぶった女性

紫外線とは、可視光線の紫より短い波長の光線のことです。紫外線にはUVC,UVB,UVAがあり、この内UVCはオゾン層で吸収されるので、地上には届かないものでした。しかしフロンの影響でオゾン層に穴があき、このUVC紫外線も少し地上に届くようになったので、現代では、フロンの使用が全面的に禁止されています。

さて、オゾン層というのは、誕生当初の地球には存在しなかったとされています。地球の原始大気はほとんどが二酸化炭素で、酸素分子はごく微量しか存在しませんでしたが、大気中に、酸素分子が増え始めたと同時にオゾンも増えたのではないかと考えられています。原始大気には、紫外線を吸収する物質がなかったので、地上まで強く紫外線が届いていましたが、酸素濃度の上昇に伴ってオゾンが増えて、地上に届く紫外線量は急減していきました。けれども、この頃はまだ、酸素濃度が薄かったので、酸素を光解離させる紫外線が地上近くまで届き、高い濃度のオゾン層が存在したのは、成層圏ではなく、地上付近でした。その後、酸素濃度の上昇とともに紫外線到達の限界高度は高くなり、オゾン層も上空へと移ったと考えられているのです。5億年前のカンブリア紀の生物種の激増や4億年前の脊椎動物の陸上への移動なども、生物に有害な紫外線を減少させたオゾン層と関係があるのではないかと言われていますが、確かな証拠はありません。

さて、紫外線の中でも短い波長の紫外線は表皮までしか届きませんが、波長の長いものは真皮深くまで到達します。表皮を通過し、真皮まで到達する紫外線UVAを浴びると、その直後には一時黒化が起こり皮膚が黒ずんで見えるようになります。これはフェオメラニンが酸化されて黒く見えるものです。その後メラノサイトが活性化してメラニンを大量に生産し、表皮細胞中のメラニンが多くなることにより、二次黒化が起こるのです。

表皮でほとんど散乱吸収されてしまうUVB紫外線を長く浴びると、皮膚に紅斑や水疱ができるサンバーンという現象が起こります。皮膚の赤味が引き、三日ほど経過すると二次黒化が起こり、皮膚は徐々に黒くなっていきます。このメカニズムはUVAによる二次黒化と同様です。どちらの場合も黒くなった皮膚がもとの肌の色に戻るまでには数か月はかかるでしょう。 紫外線はこのほかにも、光老化によるシワを皮膚に形成するということがあります。紫外線を浴びやすい首筋の部分などに、特徴的な菱形の深く、硬い感触のシワができるものです。

このような紫外線に対して人間の皮膚は自然の防御機能を持っています。紫外線が皮膚に当たると、皮膚表面の細かい凹凸で、一部は散乱され、皮膚内に透過された紫外線は、メラノサイトが作り出すメラニンによって防がれています。暑い国の人はメラニンが多く防御能力が高いのに比べ、北欧の人はメラニンが少なく紫外線に対して敏感です。人の肌はその感度で4段階に分けらていて、紫外線を浴びると、その情報が伝わり、メラノサイトのメラニン合成能力が高まり、それぞれ防御能力が高まるようになっているのです。

コメントは受け付けていません。